カジノを含む統合型リゾート(IR)事業の汚職事件をめぐり、収賄と組織犯罪処罰法違反(証人買収)の罪に問われた衆院議員の秋元司被告(49)の公判が7日、東京地裁であった。贈賄側が招いた海外視察に秋元議員と同行した元衆院議員の勝沼栄明氏が証人として出廷し、視察について「IR事業で便宜を図ってほしい目的があると思った」と述べた。
証言によると、海外視察は贈賄側の中国企業が企画。勝沼氏は秋元議員に誘われ、白須賀貴樹・衆院議員(千葉13区)らと2017年12月に参加した。
「IR事業をやりたい」 中国企業がプレゼン
広東省にある中国企業の本社を訪れた際には、同社側がオンラインカジノのプレゼンテーションをして、「北海道でIRをやりたい」と訴えていたという。
勝沼氏は「私は現職議員でなく、白須賀議員も影響力のあるポジションでもなかった。視察はIR事業参入のため、(当時IR担当の内閣府副大臣だった)秋元先生に便宜を図ってもらう目的だと思った」と証言した。
また、プライベートジェットを使って移動したり、立ち寄ったマカオのカジノで秋元議員や自身のチップ代を中国企業の社長が負担したりしていたことから、視察の旅費は「中国企業が支払ったと思った」とも述べた。
「秋元議員を接待する視察だった」
検察側は証人尋問の後、海外視察への誘いを断った上杉謙太郎・衆院議員(比例東北)の供述調書を朗読。上杉議員は捜査段階で「プライベートジェットを秋元先生が用意するわけはなく、業者が費用を持つ接待旅行と思ったので参加しなかった」と述べたという。
6日の公判に証人として出廷した白須賀議員も、今回の視察を「ぜいたく」とし、「明らかに秋元先生を接待する視察だった」と証言していた。
秋元議員は、講演料名目や選挙の陣中見舞い名目、海外視察の旅費などで総額760万円相当の賄賂を中国企業側から受けたとする収賄罪に問われている。だが、証人買収事件も含め無罪を主張している。
公判では今後、収賄の共犯とされる元政策秘書の豊嶋晃弘被告(42)と、秋元議員の被告人質問が行われる。
秋元議員側はこの日の公判後、東京地裁に保釈を求めた。証人買収事件で逮捕された昨年8月から勾留が続いている。地裁は証拠隠滅や逃亡を疑う相当な理由がないかを検討し、保釈請求を認めるかどうかを判断する。(川嶋かえ)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル